体調が悪い日、仕事で疲れた時、ママだって誰かに作ってもらった料理が食べたい!とお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。手作りじゃなくても、時短レシピだったっとしても「あなたのいつもの料理でいいんだよ」と誰かに肯定してもらえたら、どんなに救われるか…
『料理は妻の仕事ですか?』には、心がほっと軽くなる気づきがぎっしり詰まっています。
アベさんが描くキャラクターたちの生き生きとしたやり取りを通じて、あなたのお悩みもきっと解決するはずです。
本の内容
「朝ご飯、食べたばっかりなのに、もう夜ご飯の心配してる…」
「体調の悪い日くらい、誰かの作ったご飯を食べたい…」
1日3食、家族のご飯を作り続ける日々にもう限界!
イラストレーターのアベナオミさんは、中1の長男、小1の次男、年少の長女の3児のママ。毎日仕事に追われながら休む間もなく家族5人分のごはん作りをしています。
料理は本当に重労働。 買い出し、献立づくり、料理、食材の管理、後片付け…
1日3食、家族のご飯を作り続ける日々に、もうママ一人では頑張れない…
そんなアベさんの悩みを、フードライターの白央篤司さんが受け止め、彼女の心に潜む「料理=愛情」という思い込みを解きほぐしていきます。
タイトルは少し過激ですが、男女平等を訴えるような内容ではありません。家族の自炊力を育て、みんなで協力して食事を支えようという提案です。
家族に食事作りの負担をシェアしていくことで、日々のごはん作りが少しずつ楽になっていく様子も感動的。
忙しいママたちにそっと寄り添う、優しいアドバイスが満載です。
共感が止まらない!みんなが抱える料理の悩み
アベさんが日々奮闘する姿は、思わず「それ、わかる!」と共感の連続です。うんうんと何度も頷くこと間違いなし。
白央さんの「頑張りすぎないで」というアドバイスは、ずっと私が言って欲しかったことばかり。「ああ、私も若い頃にこんな言葉をかけてもらえていたら」と思う部分がたくさんありました。
私が言って欲しかったアドバイス3選
家事や料理、昔と今で変わったことと変わらないこと
この本を読みながら、私の母も同じ悩みを抱えていたことを思い出しました。
- 「今日のご飯、何にしよう」
- 「具合が悪いけど、自分が作るしかない…」
私の母は80代。子供の頃には、戦後の食糧難や配給を経験しています。30代のママさんとは50年もの開きがありますが、食事作りの悩みが全く変わっていないことに驚きます。
母は「暮しの手帖」(大日本印刷株式会社)の長年のファンなのですが、古いものに面白い記事があったのでご紹介します。
「暮しの手帖」は1948年に創刊され、現在まで続いている雑誌です。主に生活情報や実用的な知識を提供しています。広告が掲載されていないことが特徴の一つです。「暮しの手帖」のアーカイブを見れば、「主婦の悩みの歴史」もわかります。
文章は雑誌から引用し、絵や構成は雑誌を見て私が作ったイメージ図です。
- 「手作りお弁当」をよしとしていた時代であることがわかります。「作って当然」ではなく「いちばん ぜいたく」という視点であるところに、気遣いを感じますね。
- 見開きいっぱいにおにぎりのレパートリーが載っていました。現在もよく見かけるレイアウトです。おにぎりのレシピや上手な作り方も載っていました。
- 「全体を、大きめの、きれいな柄のハンカチなどで包んであげましょう。新聞紙などで包んでは、興ざめです。」というアドバイスもありました。見栄えも大事は今につながります。
60年前の記事ですが、レパートリーを増やそうと考えたり、見栄えを良くしようと工夫したり、主婦の悩みはあまり変わっていませんね。
『料理は妻の仕事ですか?』は、もっと肩の力を抜いて誰かが作ったものを取り入れても、それは十分に「家族への愛情」だと 気づかせてくれます。時代は変わったのですから、「完璧に作らなければならない」というプレッシャーはもう手放しませんか。
冷凍食品の罪悪感からの解放
アベさんの息子、豆キチ君は冷凍食品が大好き。冷凍食品を詰めただけのお弁当に「おいしい!」と超ご機嫌。
冷凍食品以外のものは入れないで欲しいとリクエストするほどです。
にもかかわらず、アベさんは、冷凍食品を使うことに罪悪感を感じたり、栄養価が足りていないのではないかと悩んでいます。
そんなアベさんに豆キチ君はこう言い放ちます。
私が一番好きなシーンです。
ここで白央さんが「冷凍食品でもいいんですよ」とアドバイスします。
本書では冷凍食品について白央さんの解説が入りますが、農林水産省の「冷凍食品活用ガイド」にも、冷凍食品が安全で栄養バランスも考えられていることが記載されていますのでご紹介します。
手作りにこだわらなくても大丈夫!冷凍食品を検証する
冷凍食品ができるまで! 製造工場レポート
おいしさも利便性も常に進化している冷凍食品。おいしさと冷凍技術の裏側を探るべく、冷凍食品製造工場を取材。こだわりの工程を通して、出来立てのおいしさの秘密に迫ります。
宮崎県産ほうれん草をおいしく冷凍・採れたてほうれん草のおいしさを食卓へ
コンテナに入れ、異物や状態の悪い材料を取り除きます。
穴の空いたドラム(筒)に入れ、回転させることで小さな異物や虫などを飛ばします。
泡立てた水で葉の汚れを洗い落とします。
ベテランのスタッフが目視で原料の状態を見極めます。
100度弱のお湯で茹でます。ほうれん草に含まれる酵素の働きが失われ、変色を防ぐことができます。
冷水で冷やします。
食べやすい大きさにカットし、脱水します。
手作業でバラバラにほぐします。
再度目視で状態をチェックします。
トンネルフリーザーに入れて-30度で3分間急速凍結し、おいしさと鮮度をキープ。バラ凍結にすることで、解凍時間が少なくなり食感も向上。洗う・切るの手間もなく、好きな分だけ使える利便性も追求しています。
バラバラのまま袋へ入れ、包装します。
金属探知機による検査、重量の検査、X線での異物検査、目視による最終チェックを経て、段ボールに梱包します。
ココがポイント
3分という短い時間で急速凍結することで、ほうれん草の中の組織が壊れることなくおいしさや鮮度を保ったまま冷凍することができます。周辺20km圏内の指定農場で原則、その日に採れたほうれん草を収穫後30分以内に工場に持ち込み、新鮮なまま冷凍するので、採れたてのおいしさをいつでも手軽に味わえます。
そうだったのか!冷凍食品Q&A
- 食品を冷凍すると栄養が損なわれませんか
-
急速凍結することにより、栄養の損失は最小限にとどめられます。また、-18度以下で冷凍保存中の栄養価は長期間維持されます。
まとめ:家族みんなで食事作りを楽しむ未来へ
『料理は妻の仕事ですか?』は、料理に対する固定観念を解きほぐし、家族全員で協力し合う未来の形を示してくれる一冊です。この本を通して「頑張りすぎなくていい」と背中を押され、少し肩の力を抜いて日々を過ごせるようになれば、きっとご飯作りも楽しい時間に変わるでしょう。
食事の時間は、家族みんなで「おいしいね」を言い合える楽しい時間にしたいもの。手作りや完璧さにこだわる必要はありません。冷凍食品やお惣菜をうまく活用しましょう。罪悪感や反省は不要です。
家族みんなで「美味しい」を共有する喜びを感じられたら、それだけで十分です。